住宅の低炭素化と再生可能エネルギー(3)

再生可能エネルギー

(1)地中熱利用について

経済産業省は、平成26年2月に、地域での地熱資源開発への理解促進のために行う事業に対して、必要な経費を全額(100%)補助する補助事業の公募を開始した。

地中熱を利用したヒートポンプは、冷暖房等に使われる省エネ技術の一つで、排熱を大気中に出さないこと等から、地球温暖化対策として、またヒートアイランド現象の緩和対策として、近年設置数が急速に増えている。

  • 環境省設置調査によると、地中熱利用ヒートポンプシステムの年間の設置件数は、2011年には207件となり、2010年では145件だったのに比べ43%増加した。2010年も前年より25%増加しており、近年急速に増えている。
  • 設置件数の累計は990件で、クローズドループシステム、オープンループシステムのシステムの方式別にみると、クローズドシステムが8割強を占めている。
  • 施設別にみると、住宅での設置件数(434件)が最も多く、次いで事務所(114件)公共施設(72件)の順となっている。

地中熱利用システムの長所

  1. 日本中どこでも、いつでも利用できる。
  2.  節電、省エネとCO2 排出量抑制ができる。
  3.  通常のエアコン(空気熱源ヒートポンプ)が利用できない外気温 ー15℃以下の環境でも利用できる。
  4.  地中熱交換器は密閉式なので,環境汚染の心配がない。
  5.  冷暖房に熱を屋外に放出しないため、ヒートアイランド現象の緩和に寄与できる。

出展:青森県の公共施設(石上ほか、2010)

地中熱ヒートポンプシステム

○クローズドループ方式

ヒートポンプの熱源を空気熱ではなく地中熱を利用する方法。クローズドループ方式は、深度20~100m程度の地中熱交換機に不凍液等を循環させ、ヒートポンプで熱交換させるもので、設置場所を問わない。

○ オープンループ方式

オープンループ方式では、井戸から揚水した地下水をヒートポンプで熱交換させるもので、水質が良く、地下水障害の恐れがない場合に適用できる。

 出展:NPO地中熱利用促進協議会

地中熱さまざまな利用方法

〇 熱伝導

高断熱住宅のベタ基礎を介して地中から伝わる熱によって、住宅内の保温を行う。暖房や除湿についてはエアコンを併用して行われる。(例:エコシステムなど)

〇 空気循環

地中に埋設した熱交換パイプ、あるいはダクトに外気を導入し、熱交換を行った空気を室内に取り込む。パッシブ地中熱ともいう。(例:ジオパワーシステム、アースチューブ(クール/ヒートチューブ)など)

〇 水循環

地中熱交換井あるいは井戸内に熱交換器を挿入し、これと路面に埋設した放熱管の間に不凍液等を循環させ、路面の融雪・凍結防止を行う。地中熱交換方式無散水融雪システムともいう。

〇ヒートパイプ

深さ15~20mの熱交換井に冷媒が封入されたヒートパイプを挿入し、その上部を路面下に放熱管として埋設する。路温低下時には自然に地中熱が路面に運ばれ融雪・凍結防止が行なわれる。地中熱ヒートパイプ融雪システムという。

出展:NPO地中熱利用促進協会

(2)太陽光発電について

太陽光発電の動向

太陽光発電協会は2月24日、2013年の太陽光電池の国内出荷量の統計を発表した。出荷量は前年の約3倍に当たる750万kw原子力発電所7基分の発電能力に相当する。5年連続で過去最高を更新した。

2008年福田内閣が発表した「低炭素社会づくり行動計画」いわゆる「福田ビジョン」によると、日本は2050年までの長期目標として、現状から二酸化炭素60-80%の削減を掲げ、太陽光発電世界一の座を奪還するため、導入量を2020年までに現状の10倍、2030年には40倍に引き上げることを目標としている。また、環境省では、普及策を講じることで、太陽光発電によって、2020年度は2005年度の26倍に相当する発電が可能と試算している。

下記の図から、少なくとも2011年から2020年の間に、新築21万戸、既築5万戸に設置される見通しであり、毎月20棟の太陽光発電システム設置施工ができるチームで換算すると、計算上、約1,000チームが必要となる。そして、目的達成のためには、施工面だけでなく、それぞれのシステムを供給するメーカーも増産が必要になる。

太陽光発電の導入シナリオ

(経済産業省資料より引用・抜粋)

このように、太陽光発電は、環境問題やエネルギー問題だけでなく、太陽電池産業はもとより、素材・材料から設置・施工まで含めた太陽光の関連産業の裾野の広さから、経済の活性化や雇用の創出効果も期待され、経済産業省「ソーラー・システム産業戦略研究会」の報告では、2020年時点の太陽光発電関連の経済効果は最大約10兆円、雇用規模は最大約11万人と、大きな期待を寄せられている。

鍵は「蓄電池」に

蓄電池は、病院・公共施設等のバックアップ用途や自動車等の動力用途として既に様々な分野で活用されている。

社会インフラにおいて欠かすことの出来ない技術であり、今後の成長分野である。エネルギー政策の観点からも蓄電池の活用は重要であり、経済産業省では平成24年7月に蓄電池戦略を策定した。2020年に世界で20兆円規模とされる蓄電池市場の5割シェアを我が国の企業が獲得することと、蓄電池施設を促進し分散型エネルギーシステムへ移行することを目標としている。

リチウムイオンで蓄電池は高容量で小型・軽量化が可能である上に長寿命という優れた特徴があり、特に震災以降は災害対策だけでなく、電力需要のピークコントロール対策、電力の自給自足などあらゆる分野で需要が急速に高まっている。

リチウムイオン蓄電池は容量と出力だけで判断される傾向があるが、どれだけ長期間使用ができるかという「生涯蓄電量」が重要と言われている。一方でコスト高、安全基準整備という課題も明らかになり、導入補助制度の実施と低価格化への補助制度の設計、国際基準を狙った安全性基準の策定が行われた。

平成23年度補正予算において、定置用リチウム蓄電池導入費用の3分の1を補助する制度が創設され、この制度によって新築をメインに一般家庭に着実に導入が進んでいる。電気は家庭で貯めて、使う時代となった。