土工事について

前回に引続いて土工事(土)にまつわる話を少ししてみたいと思います。

皆さんご存知のように土は締め固まっていてはじめて安定しています。皆さんが幼少のころ砂場で砂山を作った経験がおありになると思いますが、砂山の下の部分から砂をとってしまうと薗砂山は崩れてしまいます。工事現場においてもそれと同じような事が起きると考えて、地下部分にあたる土や基礎部分の土を削ってしまったら当然その部分が崩れてしまうわけです。

そのようにならないように、本コラム内でお話をしたような色々な工法を駆使して地盤崩壊を防止しているわけです。

土が崩れてくる前兆

土が崩れてくる前にはその前兆が現れますので、現場では常にそれらの異常について観測しています。

  1. 山留め壁の頭部が急激に傾いてその背後に大きなひび割れが見受けられるようになる。
  2. 隣接建物との間に地割れが発生する。
  3. 掘削底盤(根伐底)から水が噴出する。
  4. 山留め壁側の掘削底盤(根伐底)の土が異常に盛り上がってくる。

いずれにしろ、山留めの倒壊事故等が発生した場合には近隣を巻込んだ重大災害に繋がりますので、社会的側面から考えても土工事を担当する現場監督さんには十分な経験と技術を持った人にあたらせる事が重要です。(このように技術的要素が重要な為、建設工事保険では土の移動に伴う事故等は特約事項として別扱いになる)

土工事に伴う環境問題

過去にも地盤崩壊事故に伴う人身事故や隣接建物の倒壊・傾斜事故の事例については数多くあります。このような地盤崩壊事故の他に、最近では環境問題も社会的にクローズアップされております。土工事に伴う環境問題としては、地質汚染の問題、搬出入ダンプトラックの問題、建設残土・汚泥処理の問題振動・騒音の問題等が起きております。

特に、地質汚染問題は社会全体に大きな波紋を投げかけますので、建設工事に着工する前には必ず土壌調査をしてその発生土壌が科学的に問題がないという確証をとっておく事が求められます。

近年、開発する用地が少なくなった為、経済環境の変化で工場を閉鎖してその敷地を宅地化する事が多くなりその敷地からの有害物質検出事例が多数みられるようになりました。近年の代表的な土壌汚染問題は築地中央卸市場の移転先(工場跡地)土壌汚染の問題があります。このような土壌の無害化処理には莫大な費用がかかりますが、次世代の環境確保のためには目を瞑って通過させる事の出来ない事ですので、現場監督さんとしては近視眼的な考えではなく社会正義として取組んでもらいたいと思います。

また、発生建設残土・建設汚泥を搬出する場合にも必ず処分地の現地(中間処理場・最終処分場等)を確認すると共に、処分場で発行するマニュフェスト(電子マニュフェスト)でチェックし、正規に処分された事を最終確認しなければなりません。 これも現場監督さんの重要な確認作業です。

土だけではなく地下水(湧水)の成分についても場外に放水(放流)する場合には、十分調査をしておく事も重要な仕事です。地下水(湧水)を下水道(水路)等に放流した場合、万一その水が汚染水であったら社会的影響範囲は測り知れないないからです。

木村健二(一級建築士)
(建築トラブル解決センター長)